どんな小さな会社でも、人を雇い、その人の生活を支えるのは大変なことです。
社員に給料が払えなくなったり、遅配してしまうような事態になったら、自腹を切ってでも社員ひとりひとりの給与を賄わなければならないのです。
私ができるのは、気楽な一人社長業くらいかもしれませんね。
社長業にも色々種類はある
創業社長、オーナー社長、世襲社長、やとわれ社長、サラリーマン社長、一人社長、名目社長等々、社長業の種類もいろいろあります。
画:美鈴さん
以前、社員の宴席に社長が同席したんです。
そこで私は社長と話す機会があり、こう言われたのです。
「君、社長をやる気はないかね」。
もちろん冗談で訊いてきたのだが、そのとき私はやってもいいな、と思ったんです。
世襲の社長業は比較的楽?
しかし酒の席で社長が口にしたとはいえ、変な議論を戦わせても面倒臭くなるので、「そんな大変な仕事は、まっぴらです」と答えた。
そのとき社長が「覇気がないなあ」という意味の発言をしたように記憶しています。
しかし、社長は間違いなく私の答に満足していた、と思います。
画:きのこさん
理由はふたつあります。
ひとつは、大変だと思われている満足感。
もうひとつは、上場企業の社長であってもオーナーで世襲の社長なので、自分から「や~めた」というまでは、絶対に社長業を追われる心配はないという確信だったろうと思います。
つまり、君たちに私の地位は絶対脅かされる心配はないのだよ、という再認識の場でもあったのかもしれません。
しかし上場している会社の社長であれば、いつその座を追われるか分からないのが、本来の姿であると思います。
本来は大変な仕事なのです
会社の業績はもとより、社員の不祥事など、本来ならば自分の力が及ぶ責任範囲ではないことでも、辞任しなければならないというリスクは常にあります。
株主に対し、社長の責任を果たせない場合もしかり、です。
私たちの社長は、オーナー社長で自由の身とはいえ、東証一部上場会社であることや70すぎの年齢にもかかわらず、毎日電車通勤し、若い人たちにハッパをかけています。
画:きのこさん
このように自ら切磋琢磨して経営に対するエネルギーを持続させているんです。
これは大変なことですよね。
自分にやる気はあるかと問われれば・・・・・・
ほんとうに、私などにはできないかもしれません。
せいぜい、自分独りで社長から事務員までこなせる規模の生業を営むしかないのではないでしょうか。
つまり、自営業者になるしかないと思います。
企画、購買、生産、経理から営業販売まで、一貫して独りでやるしかありません。
しかしこれもまた社長業と言えば社長業でもあります。
まとめ
どんな小さな会社でも、人を雇い、その人の生活を支える張本人になるのは、大変なことです。
例えば会社の業績不振等によって社員に給料が払えなくなったり、遅配してしまうような事態になったら、自腹を切ってでもひとりひとりの社員の給与を賄わなければならないわけですから。
これは口で言うほどたやすいことではありませんね。
自分にも家族がいるのですから、なおさらのことです。
このようなことから考えても一人社長業は、ある意味では気が楽です。
一人何役であっても、他人が入らぬ事業は、その面だけをみればとても楽です。
私ができるのは、そんな社長業なのかもしれません。